令和2年度公開講座『福島事故以降の安全学に向けて』

日時

8月19日(水) 8:50−16:10
8月20日(木) 8:50−16:10
8月21日(金) 8:50−16:30

場所

オンライン(※URLは別途ご案内致します)

講義内容

本講義では、東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故以降、大きな変革を迫られている安全の問題について、各分野の著名な講師を招き議論する。原子力分野、航空分野の安全問題を主なトピックスとするが、技術者倫理や法律との関係などを含む多様な観点から、安全論理の再構築に向けた最新の知見を紹介する。さらに、福島第一原子力発電所事故の現場を経験した講師もお招きし、現場の立場からの安全を語って頂く。

講義プログラム

※ 学外講師のお名前をクリックすると プロフィールがご覧になれます。

8月19日(水)講師
8:50-9:20ガイダンス高橋 信(東北大学)
9:20-10:20原子力のリスクについて(1)若林 利男(東北大学名誉教授)
10:30-12:00原子力のリスクについて(2)
13:00-14:30レジリエンスエンジニアリング(1)北村 正晴(テムス研究所/東北大学名誉教授)
高橋 信(東北大学)
14:40-16:10レジリエンスエンジニアリング(2)
8月20日(木)講師
8:50-10:20福島第一原子力発電所の事故体験と組織レジリエンス吉澤 厚文(東京電力HD)
10:30-12:00航空産業におけるリスクマネジメント石橋 明(安全マネジメント研究所)
13:00-14:30原子力安全と倫理(1)大場 恭子(JAEA)
14:40-16:10原子力安全と倫理(2)大場 恭子(JAEA)
8月21日(金)講師
8:50-10:20Safety Differently論と事例分析狩川 大輔(東北大学)
10:30-12:00日本社会の変化と安全マネジメントの転換大橋 智樹(宮城学院女子大学)
13:00–14:30科学技術コミュニケーション再考 -原子力技術を事例として-(1)八木 絵香(大阪大学)
14:40–16:10科学技術コミュニケーション再考 -原子力技術を事例として-(2)八木 絵香(大阪大学)
16:10–16:30総合討論高橋 信(東北大学)

問い合わせ先

狩川 大輔(daisuke.karikawa@tohoku.ac.jp
(スパム防止のため@が全角になっています)

受講申込

  • 募集人数: 15名
  • 講習料:8,000円
  • 申込締切:8月17日(月)まで
  • 申込先: 東北大学工学部・工学研究科 教務課大学院教務係
    電話番号:(022)795-5820
    メイルアドレス:eng-koukai@grp.tohoku.ac.jp
    (スパム防止のため@が全角になっています)
    手続き案内・申込書については下記リンクをご参照下さい。
    http://www.eng.tohoku.ac.jp/edu/extension.html

学外講師紹介

北村正晴

昭和45年東北大学大学院工学研究科原子核工学専攻博士後期課程を単位取得退学、同研究科助手。昭和61年同助教授、平成4年東北大学工学部原子核工学科核計測計装講座の教授。その後、平成12年には、新設された工学研究科技術社会システム専攻リスク評価・管理学分野を担当し、平成15年には東北大学未来科学技術共同研究センター副センター長、同センター長を経て、平成17年定年退職。その後、東北大学未来科学技術研究センター客員教授を経て現在は(株)テムス研究所代表取締役所長。この間、高度信号処理技術、人工知能技術ファジイ理論、ニューラルネットワークなどの応用による原子力技術の安全性の向上と大規模システムにおける人間と機械の協調に関する研究を遂行。更に、原子力技術に対する社会の受容性の問題に着目し、市民との対話に関する実践的研究を推進。2010年以降,安全探求の先進的方法論であるレジリエンスエンジニアリング(RE)の研究にも従事。研究論文,解説論文を多数刊行するとともに海外の関連書籍の翻訳も精力的に行っている。

主な著作等:
E.Hollnagel et al.(eds.); Resilience Engineering, Concepts and Precepts:北村正晴(監訳); レジリエンスエンジニアリング,概念と指針,日科技連, 2012.
E.Hollnagel et al.(eds.); Resilience Engineering in Practice:北村正晴,小松原明哲(監訳);実践レジリエンスエンジニアリング,日科技連, 2014.
E.Hollnagel; Safety-Ⅰ and Safety-Ⅱ, The Past and Future of Safety Management:北村正晴,小松原明哲(監訳);Safety-Ⅰ& Safety-Ⅱ,安全マネジメントの過去と未来,海文堂,2015.
C.P.Nemeth and E.Hollnagel (eds.); Resilience Engineering in Practice, Volume 2: Becoming Resilient: 北村正晴、小松原明哲(監訳);レジリエンスエンジニアリング応用への指針: レジリエントな組織になるために, 日科技連, 2017

石橋 明

中央大学法学部卒。南カリフォルニア大学航空安全管理課程修了。東北大学大学院工学研究科博士課程後期修了。博士(工学)(東北大学)。海上自衛隊飛行幹部を経て、69年全日空入社。72年機長。同社において、総合安全推進委員会事務局調査役、国際線主席機長など主として安全管理業務に従事、YS‐11、B737、L-1011、B767型機などにおよそ1万9500時間乗務し、99年12月退職、研究者に転身。81年に航空運航システム研究会設立に参画。95年から早稲田大学大学院人間科学研究科でヒューマンファクターの研究に従事、98年に恩師黒田勲らと日本ヒューマンファクター研究所を設立、現在は自らが主宰する安全マネジメント研究所所長。航空分野の安全性向上に大きな寄与をしたと言われているCRM(Crew Resource Management)訓練を初めて日本に導入し、その経験を活かして他産業分野における安全教育にCRMを適合化し導入する手法を提案している。本講義では航空分野におけるリスクマネジメントと題して、CRM訓練を中心にした航空分野での安全性向上に向けた取り組みと他産業分野への応用についてお話頂く。

著書:『リスクゼロを実現するリーダー学』(自由國民社,2003年)

八木絵香

東北大学大学院工学研究科博士課程後期修了。博士(工学)。大阪大学COデザインセンター准教授。早稲田大学大学院人間科学研究科修了後、民間シンクタンクにおいて、災害心理学研究に従事。多数の事故・災害現場調査を行うと同時に、ヒューマンファクターの観点から事故分析・対策立案に携わる。2002年~2005年、東北大学に社会人大学院生として在籍。原子力問題に関して市民と専門家が対話する場(対話フォーラム)を企画・運営、現在に至る。現在は、社会的にコンフリクトのある科学技術の問題について、意見や利害の異なる人同士が対話・恊働する場の企画、運営、評価を主な研究テーマとしている。本講義では特に福島事故以降の科学技術コミュニケーションのあり方についてお話頂く。

著書:『対話の場をデザインするー科学技術と社会のあいだをつなぐということ』(大阪大学出版会、2009年)

大場恭子

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構原子力科学研究部門原子力基礎工学研究センター技術副主幹(高速炉・新型炉部門、福島部門、安全研究・防災部門および広報部兼務/連携大学院(長岡技術科学大学)准教授)。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了(エネルギー・環境)。日本原子力学会倫理委員会委員長、電気学会倫理委員会委員等を務める。原子力関連施設の社会受容問題を研究対象とする一方で、日本において技術者倫理教育の先駆的役割を果たした金沢工業大学科学技術応用倫理研究所に研究員として勤務し(2002年度~2011年度)、技術者倫理教育の内容や評価方法についての研究を行った。その後、東京工業大学グローバル原子力安全・セキュリテイ・エージェント教育院特任准教授(2012年度~2014年度)を経て、2015年度より現職。多くの大学や組織で、原子力技術に関わる技術者の倫理等の講師をする一方で、レジリエンスエンジニアリング(RE)の方法論を用いた事故対応分析を行っている。本講義では、ケーススタディーを取り入れながら、安全性向上を目指し、個人や組織がどう対応すべきかを倫理の視点でお話し頂く。

著書:共著『実践のための技術倫理─責任あるコーポレート・ガバナンスのために(東京大学出版会)』、『技術者倫理(放送大学)』

大橋智樹

宮城学院女子大学心理行動科学科教授。博士(文学)(東北大学)。臨床心理士。東北電力(株)原子力技術高度化会議委員。大川小学校事故検証委員会調査委員(2014年3月まで)。産業・組織心理学会理事、日本人間工学会代議員。学生時代は、高度視覚認知機能の研究に従事。博士論文研究は、視覚的注意の時間・空間特性と誘導要因の解析。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、(株)原子力安全システム研究所入社。発電所現場のヒューマンエラーを低減させるための対策立案に心理学の見地から貢献した。また、原子力発電所に代表されるNIMBY施設の社会的受容性の醸成という観点から、安全と安心との差異や因果性についての研究。東日本大震災発災時に富岡町におり、ヒッチハイクで仙台に帰った経験を持つ。

著書:『心理学から考えるヒューマンファクターズ』(有斐閣ブックス、共著)、『『ヒューマンエラーは裁けるか―安全で公正な文化を築くためには―』(東京大学出版会、共訳)

吉澤厚文

東京工業大学 機械物理工学科卒業、同大修士課程(原子核工学)修了。博士(工学)(長岡技術科学大学)。1983年東京電力㈱入社。福島第一、第二、柏崎刈羽の各発電所、本社原子力関連部署にて、主に原子燃料、安全に関わる仕事に従事。また、日本原燃㈱再処理計画部副部長、東京支店荻窪支社副支社長も経験。1995年から1年間Harvard大学日米関係プログラムアソシエイト。3.11東日本大震災時には、福島第一原子力発電所ユニット所長(5,6号機)の立場で免震重要棟に泊り込み事故対応に当たる。その後、本店原子燃料サイクル部長、原燃輸送㈱代表取締役社長、国際廃炉研究開発機構専務理事、日本原子力発電㈱フェローを経て、現在東京電力ホールディングス㈱フェロー、長岡技術科学大学客員教授。事故対応の経験をレジリエンスエンジニアリング(RE)の方法論を用いて広く安全性の向上に役立てようと活動している。本講義では、福島第一現場での事故体験をベースにREを用いたアプローチについてお話いただく。原子炉主任技術者、第一種放射線取扱主任者。

主な論文(共著):「福島第一原子力発電所事故対応の分析に基づいたSafety-IIの概念活用による安全性向上のための研究」(人間工学、54(1)、pp.1-13、2018)、「福島第一原子力発電所における冷温停止状態達成過程に着目した教訓導出」(人間工学、54(3)、pp.1-11、2018)、「福島第一原子力発電所における事故対応ワークロード分析に基づく緊急に対応力向上の関する研究」(日本原子力学会和文論文誌、18(2)、pp.55-68、2019)

若林利男

1973年東北大学大学院工学研究科原子核工学専攻修士課程修了。1985年工学博士(東北大学)。1973年動力炉・核燃料開発事業団大洗工学センター研究員、プラント工学室 担当役、炉心技術開発室長等を経て、2001年核燃料サイクル開発機構国際・核物質管理部長。2003年日本原子力研究所国際協力室長。2005年4月東北大学大学院工学研究科教授。2012年3月定年退職、東北大学名誉教授。2012年6月より2018年3月まで東北大学特任(客員)教授。専門分野は、原子炉物理、原子炉の炉心設計・安全性評価、放射性核種の分離核変換、燃料サイクル、リスク評価・管理である。平成21年から日本原子力学会国際活動委員会委員を務める。また、主な社会活動分野では、OECD Nuclear Energy Agency, Nuclear Energy Agency Reactor Physics Committee委員、原子力安全委員会原子炉安全専門審査会委員、原子力安全基盤機構原子力安全研究評価委員会委員を務めた。現在は、宮城県の女川原子力発電所2号機の安全性に関する検討会の座長を務める。