平成26年度公開講座「福島事故以降の安全学に向けて」

日時

8月4日(月) 8:50〜14:30
8月5日(火) 9:00〜16:00
8月6日(水) 9:30〜16:30

詳細な講義予定は【こちら】からダウンロードできます

場所

工学研究科 総合研究棟  817号室

講義内容

本講座においては、東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故以降、大きな変革を迫られ ている安全の問題を多様な側面から議論し、安全論理の再構築に関しての最新の知見を、各分野の 著名な講師を招き紹介する。原子力分野、航空分野の安全の問題を主なトピックスとするが、研究 者倫理や法律上の観点等、他では学ぶことのできない内容をカバーする内容となっている。更に、福 島第一原子力発電所事故の現場を経験した講師もお招きし、現場の立場からの安全を語って頂く。

講師陣

高橋 信(東北大) 北村正晴(テムス研究所/東北大学名誉教授)
若林 利夫(東北大) 吉澤厚文(原燃輸送)
石橋 明(安全マネジメント研究所) 大場恭子(東京工業大学)
八木絵香(大阪大学) 大橋智樹(宮城学院女子大学)

問い合わせ先

高橋 信 makoto.takahashi@qse.tohoku.ac.jp
(スパム防止のため@が大文字になっています)

学外講師紹介

北村正晴

1942年生まれ。昭和45年6月に東北大学大学院工学研究科原子核工学専攻博士後期課程を単位取得退学ののち、同研究科助手となり、その後昭和46年3月に工学博士の学位を取得している。昭和61年4月同助教授、平成4年4月東北大学工学部原子核工学科核計測計装講座の教授に任じられた。平成8年4月には、大学院重点化に伴って東北大学大学院工学研究科核エネルギーシステム安全工学講座の教授に配置換えとなっている。その後、平成12年4月には、工学研究科技術社会システム専攻のリスク評価・管理学分野を担当し、平成15年4月には東北大学未来科学技術共同研究センター副センター長、平成16年11月には同センター長に任ぜられ、平成17年3月定年により退官した。その後、東北大教授を経て現在(株)テムス研究所代表取締役社長。この間、同人は高度信号処理技術と人工知能技術の応用による原子力技術の安全性の向上と大規模システムにおける人間と機械の協調に関する研究を精力的に行い、多大な功績を残した。更に、原子力技術に対する社会の受容性の問題に着目し、リスクベースの考え方の普及による原子力に対する理解の促進を目指したリスクコミュニケーションに関する研究と社会貢献活動を積極的に行い、日本における原子力技術の社会的理解の向上に多大な貢献をしている。今回の講演では福島事故以降の原子力を取り巻く状況を受けて、原子力安全の再構築と近年注目されているレジリエンスエンジニアリングの考え方を紹介して頂く。

石橋 明

1939年生まれ。中央大学法学部卒。南カリフォルニア大学航空安全管理課程修了。海上自衛隊飛行幹部を経て、69年全日空入社。72年機長。同社において、総合安全推進委員会事務局調査役、国際線主席機長など主として安全管理業務に従事、YS‐11、B737、L‐1011、B767型機などにおよそ1万9500時間乗務し、99年12月退職、研究者に転身。81年に航空運航システム研究会設立に参画。95年から早稲田大学大学院人間科学研究科でヒューマンファクターの研究に従事、98年に恩師黒田勲らと日本ヒューマンファクター研究所を設立、現在は自らが主宰する安全マネジメント研究所所長。航空分野の安全性向上に大きな寄与をしたと言われているCRM(Crew Resource Management)訓練を初めて日本に導入し、その経験を活かして他産業分野における安全教育にCRMを適合化し導入する手法を提案している。本講義では航空分野におけるリスクマネジメントと題して、CRM訓練を中心にした航空分野での安全性向上に向けた取り組みと他産業分野への応用についてお話頂く。
著書:『リスクゼロを実現するリーダー学』(自由國民社,2003年)

八木絵香

1972年生まれ。東北大学大学院工学研究科博士課程後期修了博士(工学)。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授。早稲田大学大学院人間科学研究科修了後、民間シンクタンクにおいて、災害心理学研究に従事。多数の事故・災害現場調査を行うと同時に、ヒューマンファクターの観点から事故分析・対策立案に携わる。2002年〜2005年、東北大学に社会人大学院生として在籍。原子力問題に関して市民と専門家が対話する場(対話フォーラム)を企画・運営、現在に至る。現在は、社会的にコンフリクトのある科学技術の問題について、意見や利害の異なる人同士が対話・恊働する場の企画、運営、評価を主な研究テーマとしている。本講義では特に福島事故以降の科学技術コミュニケーションのあり方についてお話頂く。
著書:『対話の場をデザインするー科学技術と社会のあいだをつなぐということ』(大阪大学出版会、2009年)

大場恭子

1973年東京生まれ。金沢工業大学 科学技術応用倫理研究所研究員(原子力社会学・科学技術倫理)多摩大学経営情報学部卒、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了(エネルギー・環境)。複数の研究所に非常勤研究員として勤務しながら、東京大学文学部行動文化学科社会学専攻および東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻に研究生として所属。エネルギー問題や原子力問題と社会との関係について研究を積んだ。2003年度〜2005年度東京大学生産技術研究所研究員兼任。2012年度より東京工業大学グローバル原子力安全・セキュリテイ・エージェント教育院 特任准教授(現職)。日本原子力学会倫理委員会副委員長、日本原子力学会社会・環境部会運営委員、電気学会技術者倫理委員会委員。本講義では、個人の倫理と組織の倫理について豊富なケーススタディーを通じてお話頂く。
著書:共著『実践のための技術倫理─責任あるコーポレート・ガバナンスのために(東京大学出版会)』、『技術者倫理(放送大学)』

大橋智樹

1971年東京都生まれ。宮城学院女子大学心理行動科学科教授。博士(文学)(東北大学)。臨床心理士。東北電力(株)原子力技術高度化会議委員。大川小学校事故検証委員会調査委員。産業・組織心理学会常任理事。日本人間工学会代議員。学生時代は、高度視覚認知機能の研究に従事。博士論文研究は、視覚的注意の時間・空間特性と誘導要因の解析。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、(株)原子力安全システム研究所入社。発電所現場のヒューマンエラーを低減させるための対策立案に心理学の見地から貢献した。また、原子力発電所に代表されるNIMBY施設の社会的受容性の醸成という観点から、安全と安心との差異や因果性についての研究。東日本大震災発災時に富岡町におり、ヒッチハイクで仙台に帰った経験を持つ。本講義では、過失が司法によって扱われる現状とその問題点についてお話頂く。
著書:『心理学から考えるヒューマンファクターズ』(有斐閣ブックス、共著)、『『ヒューマンエラーは裁けるか―安全で公正な文化を築くためには―』(東京大学出版会、共訳)

吉澤厚文

1958年生まれ。東京工業大学 機械物理工学科卒業、同大 修士課程(原子核工学)修了。1983年東京電力㈱入社。福島第一、第二、柏崎刈羽の各発電所、本社原子力関連部署にて、主に原子燃料、安全に関わる仕事に従事。また、日本原燃㈱再処理計画部副部長、東京支店荻窪支社副支社長も経験。1995年からはHarvard大学日米関係プログラムアソシエイト、2001年ISL(Institute of Strategic Leadership)プログラムを受講している。3.11東日本大震災時には、福島第一原子力発電所ユニット所長(5,6号機)の立場で免震重要棟に泊り込み事故対応に当たる。その後本店原子燃料サイクル部長を経て現在原燃輸送㈱代表取締役社長。事故対応の経験をレジリエンスエンジニアリング(RE)の方法論を用いて広く安全性の向上に役立てようと活動している。本講義では、福島第一現場での事故体験をベースにRE手法を用いたアプローチについてお話いただく。原子炉主任技術者、第一種放射線取扱主任者。