長江 剛志 准教授

福川 信也←長江 剛志→古林 敬顕
先端社会工学講座
交通社会マネジメント分野
研究室サイト:
http://www.most.tohoku.ac.jp/ftss/

長江研究室では「持続可能な社会のための交通システムの提案とその管理・運用方法の設計」を基本テーマとして,以下の4つの研究課題に取り組んでいます.

1)交通ネットワークにおけるリスク・マネジメント

現代のビジネスの殆どは,交通ネットワークにその基盤を置いています.ネットワークの利用者は,外的・内的要因によって確率的に変化するサービス水準(e.g.所要時間) を考慮しながらネットワークを効率的に活用しようとします.一方,ネットワークの管理者は,こうした利用者の行動を考慮しながら,限られた道路容量の下で信頼性の高いサービスを供給しなければなりません.

本研究テーマでは,こうしたサービス水準や利用者行動の変動リスクを考慮した「ネットワークの効率的活用および安定的運用」のための方法論の提供を目的としています.

関連分野:交通工学,土木計画,防災計画,変分不等式/相補性理論,ネットワーク科学,グラフ理論,離散凸解析

2) 意思を持つ個人の集合体としての社会経済システムの動学分析

社会とは「個々の情報に基づいて行動する多数の主体(エージェント)」で構成される複雑な系(システム)です.そこでは,個々の主体のミクロな行動の総和が系全体のマクロな振る舞いを決定づけ,系のマクロな振る舞いが個々の主体のミクロな行動に影響を与えます.このような複雑なシステムに対しては,系そのものが知性・意思をもつかのように振る舞うことや,組織や慣習が自己組織的に創発することが知られています.

本研究テーマでは,こうした社会経済システムの複雑な動的な振る舞いや創発現象を「ミクロでもマクロでもない「メゾ」な視点から分析する」ための理論の構築を目指します.

関連分野:進化ゲーム理論,population game,マルチ・エージェント・システム,複雑系,ネットワーク科学,集計とゆらぎの経済学,統計力学,数理生態学

3) 組織と社会の自律分散的なマネジメントのための制度設計

社会経済における市場の役割とは「個々人の(利己的な)取引インセンティブを活用して資源・サービスの効率的配分を自律分散的に実現すること」に他なりません.しかし,現実には,その機能は不完全競争(独占/寡占),外部性(渋滞/環境汚染),情報の非対称性(談合/手抜き工事)などによって損なわれています.経済学の分野では,こうした阻害要因の下で市場を正しく機能するための制度/ルールの設計に関して活発に研究が行なわれており,実際に排出権取引や通信帯域のオークションなども行なわれています.

本研究テーマではこうした社会経済システムにおける「自律分散的なリスク・マネジメント手法としての制度設計」と「その制度の安定性・持続可能性の分析」に挑戦します.

関連分野:メカニズム・デザイン,契約理論,産業組織論,比較制度分析,進化ゲーム理論

4) 動学的不確実性下でのプロジェクト・マネジメントと価格評価

あらゆるビジネスは複雑な意思決定の連鎖です.プロジェクト・マネージャーは,為替・株価・製品需要などの社会経済状態の確率動学的な変化に応じて,より望ましいキャッシュ・フローを達成するような意思決定を行なわなければなりません.このキャッシュ・フローの改善はプロジェクトの資産としての価値を高めます.そのため,(買収・売却などの際の)プロジェクトの取引価格を評価することと,意思決定問題と解くことは全く同じです.

本研究テーマでは,こうした動学的不確実性の下で「プロジェクトに対する最適意思決定戦略」と「その意思決定の下でのプロジェクトの適切な取引価格」を定量的に評価するための方法論の確立を目的としています.

関連分野:金融工学,資産評価理論,確率システム制御理論,変分不等式/相補性理論